『JUDGE EYES(ジャッジアイズ)』体験版プレイレビュー

この冬はさまざまなメーカーから満を持しての大作ソフトが数多く投入されるが、本日レビューするゲームも、間違いなく“平成最後の冬の本命”のひとつに数えられるだろう。

12月13日、セガゲームスはプレイステーション4用ソフトとして『JUDGE EYES:死神の遺言』を発売。あの『龍が如く』シリーズを生み出した“龍が如くスタジオ”の最新作で、物語の舞台はシリーズではおなじみ“神室町”。公式サイトによるとこのゲームは、現代の東京を舞台に連続猟奇殺人の謎を追う本格リーガルサスペンスアクションとなっていて、主人公の八神隆之を演じるのは、アーティスト・俳優の木村拓哉氏。さらに、主人公を取り巻く主要人物のキャストとして、谷原章介氏、ピエール瀧氏、滝藤賢一氏、中尾彬氏といった実力派俳優陣が顔をそろえている。そしてロックバンド“ALEXANDROS”が本作のために書き下ろした楽曲がドラマを盛り上げる--。

『龍が如く』の流れを汲む作品というだけで、食指が動いてしまう人も多いだろう。かくいう俺もそのひとりで、11月29日から始まった“一章まるごと・スペシャル体験版”をすっかりやり込んでしまっているのであります。

そこで今回は、ゲームの世界観、流れ、システム、さらに奥深さまで感じられてしまう太っ腹すぎる体験版を遊んだ感想を綴りたいと思う。

※『JUDGE EYES:死神の遺言』の公式サイトはこちら

『龍が如く』の思い出

レビュー本編を書く前に、ちょっと思い出話を。

俺が『龍が如く』シリーズを初めて本気でプレイしたのは、プレイステーション3用ソフト『龍が如く3』のときだ。

しかしこの時期、俺の脳ミソは周期的にやってくる“倦怠期”の真っ只中にあって、映画やドラマを観たり、活字を追うことが億劫になってしまっていた。なので重厚なストーリーがウリのひとつである『龍が如く3』も正直、それほど積極的な理由で遊んでみたわけではない。ぶっちゃけ、

(話題作だし、一応は触っておかないとマズいよな……)

というくらいの気持ちだったと思う。しかし、本当になんとなーく『龍が如く3』のROMをプレイステーション3に入れ、ポケーっとオープニング映像を眺めているうちに……俺は自然と、拳を握ってしまっていた。久しぶりに劇画チックな、男臭すぎる世界観を目の当たりにして、ある種のカルチャーショックすら受けていたと思う。

(これほどベタな世界観を、何のてらいもなく叩きつけるゲームがあったなんて……)

わりと長く続いていた“ドラマ観られない病”、“活字読まない病”は、その瞬間に完治した。

俺は完全に、テレビモニターの中で展開する任侠世界のトリコとなり、たっぷりと時間をかけて『龍が如く3』をクリアー。そしてすぐさま外伝的な『龍が如く 見参!』を遊び尽くし、それでも飽き足らずに「まだまだぁ!!」とわめいてプレイステーション2を引っ張り出してきた。……そう、『龍が如く2』、そして第1作目の『龍が如く』まで逆流してプレイしたのである。まるで鮭が川を遡るように、シリーズ作品を最新作(当時)から第1作目までを逆走していったわけだが、おかげでこのシリーズが持つ分厚いストーリーと人間ドラマをしっかりと理解することができたのである。

『龍が如く』は“インタラクティブドラマ”である

『龍が如く』シリーズは、いい意味でストーリーに縛られている作品だ。テレビモニターの中で展開されるドラマをそのまま文字にして読み直したくなるくらい、“立った”キャラクターたちが磐石なストーリーの上で踊っている。その佇まいは完全に“動く任侠小説”。小説と違うのはそれだけ確固としたストーリーをプレイヤーが動かすインタラクティブ性で、そういう意味では『龍が如く』シリーズは“インタラクティブ任侠ドラマ”と呼ぶことができると思う。

プレイヤーにストーリーを刻み込ませるパワーという点で、『龍が如く』シリーズは圧倒的に抜きん出ている。

この世界のバックグラウンド、登場人物の人となり、そして人と人とのつながりをどれだけ理解できているかで遊ぶプレイヤーの“幸せ度”に差が出てくるなんて、ヘタな映画やドラマは真っ青であろう。

自由度とドラマ性のバランス

しかし“ドラマ性”ということにだけ注目すると、ほかのアドベンチャーゲームやRPGでも十分に“魅せて”くれるものは存在する。思わずじっと見入ってしまう瞬発力は、『龍が如く』シリーズに勝るとも劣らないものもあるだろう。

が、そんな作品の中には、ドラマ性を極限まで高めることと引き換えにプレイヤーの自由度を犠牲にせざるを得なくなっているものもある。それだけ見ても、プレイヤーの自由度と制作者側が突きつけるドラマ性を高次元で両立させることは至難の業だということがわかるだろう。どちらかを上げたら、どちらかが下がる。単純なシーソーゲームのソレのように、自由度とドラマ性はなかなかいっしょに上に上がってくれない。たとえば、いまや一大勢力となっているオープンワールドのゲームでは、それほど深くストーリーに関わろうとしなくても、自由度の高さだけで楽しむことができる。ぶっちゃけ俺などは、海外の巨大なオープンワールドゲームを遊ぶとき、端からストーリーの理解をあきらめて“自由であること”のみを享受するように努めていたりする。

じつは『龍が如く』シリーズの本当にすごいところは、“自由度”と“ドラマ性”を絶妙なバランスの上で成り立たせて、それを違和感なくプレイヤーに提供できているところなのではなかろうか?

それを踏まえての『JUDGE EYES:死神の遺言』

さて、ここからが本題。

そんな、稀有なオープンワールドゲームである『龍が如く』を作り上げた人たちが、満を持して放ったのが『JUDGE EYES:死神の遺言』である。

いったいどんな仕上がりになっているのか?

正直、製品版をイチから楽しみたかったので、「体験版か……。どうしよっかな……」と二の足を踏んでいたのだが、“一章まるごと遊べる”こと、さらに“製品版へセーブデータの引き継ぎが可能”という一文に完全ノックアウトされ、ホイホイと神室町にくり出すことになりました(苦笑)。

ド安心の世界観とシステム!

体験版をひととおり、2~3時間かけて遊んだうえでの俺の第一声は、

「いまどき、こんなにすんなりと世界観に入っていけるゲームが、どれだけあるというのだ!!!」

という、若干芝居がかったものであったw

いやでも、素直にそう思ったのよ。

システムはめちゃくちゃよくできているのに、ストーリーや人間関係が複雑奇怪でまったく感情移入ができないゲームがはびこるなか、『JUDGE EYES』はいさぎいいまでにわかりやすい。もちろん、章が進むにつれて物語は複雑になっていくのだろうが、取っ掛かりでのわかりやすい色分け(登場人物の関係性や善悪の区別ね)は非常に好感が持てるのよ。プレイヤーは無理に話を頭に詰め込まなくても自然にゲーム世界の情勢を理解でき、そこで脳ミソを使わなかった分をシステムの修練に割くことができる。気が付けば、ふつうにプレイをしていただけで、世界観、プレイ方法のほとんどが染み付いているんだから……。このへんの導き……というか“つかみ方”は、さすが龍が如くチームだなと感心させられてしまった。

安心のアクションとゲーム展開

ストーリーのことを詳しく書くとネタバレになってしまうため、かなり概念的な記述が多くなるのはお許しいただきたい。

誤解を恐れずに書くが、『JUDGE EYES』のゲーム展開は『龍が如く』のソレを踏襲していると言って過言ではないと思う。

ネオンさんざめく神室町を自由に走り回り、人と出会い、別れ、仕事をこなし、ときに遊び、ときに怪しいことに首を突っ込みながら、自然と話を進めていく--。

そう、プレイヤーが行うのは神室町で“生きていく”ことだ。時に泥臭く、時にかっこつけながら、主人公の八神隆之は“ある事件”の真相に迫っていく。

その生活のはしばしに挟まるのが、龍が如くスタジオお得意のバトルシーン。ひたすらボタンを叩きまくるガチャプレイでも、敵との間合いをキチンと見極めて立ち回る玄人はだしのプレイでも、どちらもストレスなく楽しめる絶妙なバランスが、本作でも際立っている。バトルシーンの軽快で奥が深いアクションに関しては、海外のオープンワールドゲームのそれを圧倒的に凌駕するすばらしさだと思う。


あまりにもバトルが楽しいため、俺があやつる八神隆之は、神室町で蛇行運転(走行?)を繰り返してはチンピラに体当たりし、ケンカを売りまくっている。ちょっとでも人相が悪そうな男を見つけたら、

(#`・д・)なんじゃコラ!! おうおう!!

と、因縁つけまくり。どっちが極道なのか、わかったものではない。


もうこれだけで、たまらなく楽しい。現実世界では決してできないことだけど、どこかシュールでコミカルな匂いもする『JUDGE EYES』のバトルシーンは、『龍が如く』シリーズ未経験の人でもすぐに溶け込めるはずだ。

安心の名優たち!

『JUDGE EYES』は“リーガルサスペンスアクション”と銘打つだけあって、ところどころで考えさせられる選択肢が現れたりする。

現状、最良の回答が選べなかったところで致命的な展開に発展することはなさそうだが、ゲーム世界に感情移入させる手段として、こういった新たな要素(ほかにもいろいろある)は大歓迎だ。

そして何より、『JUDGE EYES』の世界観に厚みを持たせているのが、主要人物のキャストに名を連ねている名優たちだ。

こういったゲームに芸能人が参加していると聞くと、どうしても色眼鏡をかけて見てしまう向きもあるかもしれないが、『JUDGE EYES』の出演陣のスゴイところは、ただ顔と声を提供しているだけではないこと。キチンと『JUDGE EYES』の世界でキャラを立て、なくてはならない存在になっている。ただ親しみやすさを醸し出すだけでなく、しっかりと血の通った人間であることを主張しているので、思わずグッと引き込まれてしまうのだ。

『JUDGE EYES』の総評

長く書いてしまったが、結論は非常に短い。

「本当におもしろい!!」

これに尽きるのだ。

俺はこの体験版を事務所のモニターでプレイしているのだが、『龍が如く』シリーズをまったくやったことのないスタッフがひと目見るや、こんなことをつぶやいたのを聞き逃さなかった。

「え、なにこれ。めっちゃおもろいやん……!!」

迷わず、買い!